ブームが続く陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明の敵役、蘆屋(あしや)(芦屋)道満(どうまん)を筆頭に一大勢力を誇った「播磨陰陽師」を再評価し、街おこしにつなげようという市民グループが、兵庫県姫路市で結成された。姫路は、世界遺産の国宝・姫路城を中心にした典型的な「風水都市」で、メンバーは「歴史が深い街ならではの活性化策を」と意気込んでいる。
陰陽道は古代中国の陰陽五行(いんようごぎょう)説に基づく方術。平安時代に隆盛し、朝廷の中の役所「陰陽寮」に所属した晴明らが活躍した。一方、播磨には道満ら多数の民間陰陽師が存在し、京都の宮廷陰陽師と拮抗(きっこう)する巨大な勢力を誇ったとされる。
「宇治拾遺物語」によると、京に上った道満は、左大臣・堀川顕光の依頼で摂政・藤原道長を呪い殺そうと術を巡らせたが、晴明に見破られ追放された。歌舞伎や小説でも、道満は権力者側の視点から、専ら「敵役」とされる。
「悪役イメージをぬぐい、播磨のイメージアップに」と、同市内の会社員らが「風水都市・姫路と播磨陰陽師を復興する会」を昨年12月に結成。4月には播磨陰陽師に関する資料などを紹介する展覧会(市教委後援)を開催。庶民が正月に吹いて一年の厄を払うとされた「ポッペン」など、「陰陽道グッズ」を製作して姫路の新たな土産物にすることも検討している。
姫路の街は、東西を川に挟まれ、北の広嶺山と南の家島群島を結ぶ南北軸上に姫路城を配置。平安京などと同様、風水思想を取り入れた典型的な都市構造で、この点も積極的にPRする。
代表の鍋山祐二さん(37)=同市=は「ありきたりの活性化策ではない、姫路にしかできない点を全国にアピールしたい」と話している。 【山成孝治】
[毎日新聞2月8日] ( 2003-02-08-22:40 )